単なるタイトでキャッチーなパンク・ポップ・バンドから、多元性と実力を兼ね備えたブリット・ポップ・バンドへと成長したアッシュ。グラム・ロックから大きく影響を受けたというサウンドは、北アイルランドの現役高校生だったデビュー当時からイギリス全土を震撼させてきた。濃厚でしまりのあるディストーション・ギターとノリのいいグルーヴ、そしてメイン・ソングライターであるティムのソング・ライターとしての才能はオアシスのノエル・ギャラガーも認めざるを得ないほどだ。
92年北アイルランドのダウンパトリックで結成。当時15歳で同級生だったティム・ウィーラー(Vo&G)とマーク・ハミルトン(B)の2人が一級上のリック・マックマーレイ(Dr.)を誘い結成。それから1年足らずのうちにデビュー・ミニ・アルバム『トレイラー』をリリースするとたちまち話題となり、特に収録曲「ガール・フロム・マーズ」はラジオを席巻する。
96年に1stアルバム『1977』をリリースすると、いきなりナショナル・チャートNo.1を獲得。ティムもソング・ライターとして大きな評価を得るようになる。
97年には4人目のメンバーとして18歳の紅一点、シャーロット・ハザリー(G.)を迎える。この男勝りのギタリストを加えたバンドはユアン・マクレガー主演映画『普通じゃない』にテーマ曲を提供、華々しく第2章をスタートする。98年には2ndアルバム『ニュークリア・サウンズ』をリリース。このアルバムでは打ち込みの導入など新しい試みも披露、よりハードな作品に仕上がっている。このアルバムもUKですぐさまゴールド・ディスクに輝く大ヒットを記録している。
01年にはティムによるメロディが一層輝きを増した3rdアルバム『フリー・オール・エンジェルズ』をリリース。この作品はUKの音楽賞を総ナメにし、彼らの最高傑作との呼び声も高い。04年にリリースされた4thアルバム『メルトダウン』はジャケットからしてメタル/ハード・ロック風、重いリフと疾走感溢れるビートによる楽曲が大半を占めている。そして一発で心を鷲掴みにするメロディも健在、バンドとしての成長を示した充実の作品となっている。
しかし、06年にはシャーロットがバンドを脱退し、ソロに転向。その後、バンドは元の男子3人組に戻り、活動を続けている。
かつての“恐るべき子どもたち”もいまやベテランの域に達しているが、いまだそのサウンドは瑞々しさを失っていない。目の前の皿にてんこ盛りにされたアッシュの曲をガツガツとむさぼれば、お腹一杯になること間違いなし。そして満腹でももっと欲しくなる、それがアッシュの魅力なのだ。