"ピアノの女王"――この尊称が全てを物語っているとおり、今世紀を代表するピアニストであるラローチャ。彼女の音楽は躍動感に満ちあふれたダイナミズムと親しみやすさ、多彩な表現と優れた感性を兼ね備え、常に世界を魅了し、聴衆を陶酔させている。
1923年バルセロナに生まれ、5歳でリサイタル・デビュー。12歳の時にはマドリード交響楽団とモーツァルトの協奏曲を演奏している。ルービンシュタインに才能を認められ、彼の推挙により世界中で演奏活動を開始、あっという間に名声を高めた。
モンポウ/アルベニス/グラナドスといったスペイン音楽のスペシャリストとして作品の普及に務め、それに関しては彼女の右に出る者はいない。しかし同時に、モーツァルト/ベートーヴェン/シューマン/ラヴェルなどスタンダードなレパートリーにおいても、純粋な美や真実を語ることのできる希有のピアニストである。だが、ごく自然に音楽に身を捧げてきた彼女にとっては、それは特別なことではないのだろう。ステージの上の彼女はいつも微笑みをたたえ、まさに"ピアノを弾くために生まれてきた人"といった感がある。そして聴衆はいつも涙がこぼれ落ちるほどの感動を得るのだ。――女王のピアノはいつも、高貴で深く、温かい。